自分のサービスの申込みページに表記を載せる方へ表記の各欄を、
条文に沿って書けるように
「特定商取引法に基づく表記」は、ひな形の項目を順に埋めれば形にはなりますが、住所や電話番号を出したくない、返金不可と書いてよいか、クーリング・オフの欄に何を書くか、といった個々の欄で手が止まりやすい書面です。そもそも自分の取引に表記が必要なのか、サロンや教室のように来店して受けるサービスや、制作・相談・代行のように成果物のあるサービスで、通販向けの欄をどう読み替えるのかも、ひな形だけでは分かりません。このサイトは、通信販売の広告に表示する事項を定めた法律と省令の条文に沿って、項目ごとの書き方と考え方、記載の当否の分かれ目、サービスの種類別の書き方の型、点検の順番を整理した解説です。ネットショップの運営やアプリの課金設計は別のガイドで扱います。
表記の全体像を知りたい方

広告・申込み画面・表記ページ・法定書面の4層
特定商取引法に基づく表記は、表記ページを一つ作れば足りる、という書面ではありません。法律が表示を求めているのは「広告」で、申込み画面に出す事項、契約後の通知、取引の類型ごとの法定書面は、それぞれ別の定めです。
どこに何を出すのかの見取り図と、表示事項が法律と省令のどの条文に当たるのかの対応を、最初に整理します。
表記が必要か、住所や電話番号をどう書くか迷う方

通信販売に当たるかの判定と、事業者情報の欄
ウェブの予約フォーム、電話、メール、口座への払込みなどで申込みを受けるサービスは、通信販売に当たり得ます。一方、事業者が営業のために結ぶ取引や、日本国外の顧客への販売は、法律が適用除外としています。
住所や電話番号を出したくないときは、請求があれば書面等を遅滞なく提供する旨を表示する方法が条文にありますが、省令が定める条件を満たす必要があります。法人・個人・複数運営の形態ごとに、書き方の当否を整理します。
価格・支払・提供時期の欄を書く方

追加費用の洗い出しと、期間・期限としての表示
価格の欄には、役務の対価のほかに、出張費、延長、材料、振込や分割の手数料、オプションなど、購入者が負担する金銭の内容と額が必要です。税込か税別かの明記も欠かせません。
提供時期は期間または期限で表示する、と省令が定めています。「順次」「準備でき次第」「目安」だけの書き方が足りるかも、条文から確かめます。
返品・キャンセルの欄で迷う方

役務と商品の違い、「返金不可」「クーリング・オフ」の置き方
商品の返品に関する定めと、役務の解除やキャンセルの条件の表示は、別の枠組みです。役務なのに「返品」の語を使う、一括で「返金不可」と書く、といった書き方は、条文の整理がないまま書かれていることが少なくありません。
「クーリング・オフはありません」と書く場合の留保や、キャンセル料の段階表示、返金の方法と時期の書き方を、その欄に何を書くかという実務に絞って整理します。
サービスの種類別の書き方を知りたい方

対面・出張・予約型と、制作・相談・代行型の型
来店や出張で提供するサービスでは、通販向けのひな形をどう読み替えるかが問題になります。キャンセル料と日時変更、受入れ条件、出張費や延長料金を、各欄にどう置くかを横に並べて比べます。
制作・相談・代行のように成果物があるサービスでは、着手金、納品、修正、成果の非保証の書き方が中心です。許認可の番号や、仲介・マッチングで「誰が販売者か」を示す書き方も扱います。
公開後の点検や、不備の指摘を受けた方

食い違いの点検と、指摘を受けたときの修正の手順
公開した表記が、規約や広告、申込み画面と食い違っていないかは、定期的に確かめます。空欄やひな形の注意書きが残ったままの公開、屋号・住所・メールの不一致は、起きやすい不備です。
決済代行やストアの審査、消費者からの指摘を受けたときの修正の手順と、行政による指示・業務停止の位置づけも、条文に沿って整理します。
このガイドの解説ページ
よくあるご質問
サロンや教室のように、来店して受けるサービスでも特定商取引法に基づく表記は必要ですか?
通信販売は、郵便その他の方法で売買契約や役務提供契約の申込みを受けて行う販売や役務の提供です(法2条2項)。方法には、電話機などの通信機器を利用する方法や、預金口座への払込みも含まれます(施行規則2条)。ウェブフォームや電話、メールで予約や申込みを受け、事前に代金を受け取るサービスは、該当し得ます。来店して契約するだけの取引の扱いは、取引の実態によって変わるため、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。
住所や電話番号を出さず、「請求があれば開示します」とだけ書いてもよいですか?
法11条のただし書は、広告に、請求により事項を記載した書面や電磁的記録を遅滞なく交付または提供する旨を表示する場合に、省令で定めるところにより事項の一部を表示しないことができると定めています。どの事項を省けるか、省くときにほかの何を表示しておく必要があるかは、施行規則25条が定めています。「準備中」「日本国内」とだけ書く、請求開示の旨を書かない、といった書き方がこの定めに当たるかは、条文に照らして確認が必要です。
「通信販売にクーリング・オフはない」と書いて、返金は一切しないと表示してよいですか?
商品や特定権利の販売では、広告に特約の表示がなければ、引渡しを受けた日から8日を経過するまで申込みの撤回等ができます(法15条の3第1項)。役務の提供にこの規定は当たらず、解除やキャンセルの条件を、法11条5号の事項として表示します。いずれも、顧客にとって見やすい箇所に明瞭に表示する必要があります(施行規則24条3号)。また、取引の実態によっては、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供など、別の類型の定めが問題になることもあるため、「ない」と言い切る前に類型を確かめます。
価格が見積りで決まるサービスや、オプションが多いサービスでは、価格の欄に何を書きますか?
法11条1号は、販売価格または役務の対価の表示を求めています。さらに、それ以外に購入者が負担すべき金銭があるときは、その内容と額の表示が必要です(施行規則23条4号)。出張費、延長、材料、振込や分割の手数料、オプションなどが当たり得ます。税込か税別かも明記します。個別の見積りで額が決まる場合に、どこまで示せば足りるかは、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。
表記ページに、利用規約や契約書の条項も書いておいてよいですか?
表記は、広告に表示することが法律で求められている事項(法11条)で、利用規約や契約書は、契約の内容を定める書類です。表記に規約の条項を混在させると、数字や条件が食い違ったときに、どちらが表示された条件なのかが分からなくなります。誇大広告等や、実際より有利だと誤認させる表示は禁止されています(法12条)。表記には法定の事項を正確に書き、詳細は規約に置いて、両者の内容を一致させておきます。
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運営事務所・ご相談のご案内監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日