このページの要点
- 通信販売は、郵便等(ウェブのフォーム、電話、メール、口座への払込みを含む)で申込みを受ける販売・役務の提供(法2条2項、規則2条)。
- 来店のみの取引は通信販売の定義に当たらない方向だが、ネット予約や事前決済があると整理が変わる。
- 事業者向けの適用除外(法26条1項1号)は買い手側の目的で決まり、国外の顧客の適用除外(同項2号)は顧客の所在で決まる。
- 訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供が重なる取引は、通信販売の表記だけでは足りない。
特定商取引法に基づく表記が必要かどうかは、二段階で判定します。第一に、その取引が「通信販売」に当たるか(法2条2項)。第二に、通信販売に当たるとして、適用除外に当たらないか(法26条1項)。サロンや教室のように来店して受けるサービスも、ウェブで予約を受けて事前に代金を受け取る形にすれば、通信販売の入口に近づきます。事業者を相手にする取引や、日本国外にいる顧客への販売は、条文が適用除外としています。
一方で、判定の結果、通信販売に当たらないとされた取引でも、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供といった別の類型に当たる場合があります。そのときは、通信販売の表示ではなく、その類型の書面が必要です。このページは、表記が必要かどうかの入口の判定だけを扱い、各欄の書き方には入りません。
このページの結論
- 通信販売は、郵便等(ウェブのフォーム、電話、メール、口座への払込みなどを含む)で申込みを受けて行う販売や役務の提供で、電話勧誘販売に当たらないもの(法2条2項、規則2条)。
- 来店して契約し、その場で支払うだけの取引は、郵便等による申込みを受けていないため、通信販売の定義に当たらない方向になる。ネット予約や事前決済があると、整理が変わり得る。
- 営業のために、または営業として締結される取引は適用除外(法26条1項1号)。買い手側の目的で決まり、個人と事業者が混じるときは取引ごとの実態で判断する。
- 日本国外にいる顧客への販売や役務の提供は適用除外(法26条1項2号)。日本の顧客に向けた販売は、事業者が国外にいても、この号では除外されない。
- 他の類型が重なる取引は、通信販売の表記だけでは足りない。
通信販売に当たる条件:法2条2項と規則2条
法2条2項は、通信販売を「販売業者または役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法により売買契約または役務提供契約の申込みを受けて行う商品もしくは特定権利の販売または役務の提供であって電話勧誘販売に該当しないもの」と定めています。構成要素に分けると、次のとおりです。
通信販売の構成要素
| 要素 | 条文の言い方 | 判定の視点 |
|---|---|---|
| 売り手 | 販売業者または役務提供事業者 | 役務提供事業者は、役務の提供の事業を営む者と定義されている(法2条1項1号)。個人でも、事業として行えば当たり得る |
| 対象 | 商品、特定権利の販売、または役務の提供 | 役務は「有償で提供する契約」に係るものを指す(法2条1項1号の役務提供契約の定義)。無償の役務の提供は、この定義に入らない |
| 申込みの受け方 | 郵便その他の主務省令で定める方法(郵便等) | 規則2条が、信書便、電話機・ファクシミリ・情報処理機器を利用する方法、電報、預金または貯金の口座に対する払込みを挙げている |
| 除外 | 電話勧誘販売に該当しないもの | 電話をかけて行う勧誘(またはかけさせる方法)に基づく取引は、電話勧誘販売として別に扱う(法2条3項) |
規則2条2号の「電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法」は、ウェブのフォーム、メール、SNSのダイレクトメッセージ、電話での申込みなどを広く含む書き方です。4号の「預金又は貯金の口座に対する払込み」があるため、申込み後の口座振込も、通信販売の方法に当たります。つまり、申込みの手段が現代の通信手段であれば、通信販売の入口には、ほぼ立つことになります。
役務の提供については、無償のものが「役務提供契約」の定義に入らない点に注意が要ります。無料の相談、無料の体験は、それ自体は有償の役務提供契約ではありません。ただし、無料の体験の申込みを入口に、有償のコースの申込みを受ける場合は、有償部分の取引が通信販売に当たり得ます。無料から有料に移る取引の価格の書き方は価格・追加費用の書き方で扱います。
通信販売かどうかの判定の流れ
来店のみのサービスと、ネット予約・事前決済の整理
サロンや教室、撮影、施術のように、顧客が来店して受けるサービスで悩むのは、予約と契約と支払が、どの時点で、どの手段で行われるかです。条文が見ているのは、「郵便等により契約の申込みを受けて行う」取引かどうか、という点です。予約を受ける手段が電話やウェブであっても、その予約が契約の申込みと評価されるのか、来店時に改めて契約を結ぶのかで、整理が変わります。どちらに当たるかの所管官庁の解釈は、資料で確認が必要です。
来店型サービスの受け方別の整理
| 取引の形 | 通信販売の定義との関係 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 来店して説明を受け、その場で申込み・契約・支払まで済ませる | 郵便等による申込みを受けていないため、通信販売の定義に当たらない方向 | 来店前に、価格や条件を示す広告でどこまで申込みを受けているか。広告での事前の受付があれば別 |
| 電話やフォームで予約し、料金は来店時に払う | 予約が契約の申込みと評価されるかで分かれ得る | 予約の時点で料金やキャンセル料が確定していないか。予約の確定の通知が、承諾にあたる書き方になっていないか |
| フォームで申込みを受け、オンラインで事前に決済する | 申込みを郵便等(情報処理機器を利用する方法)で受けており、通信販売に当たり得る | 申込みの画面の表示(法12条の6)、前払いの通知(法13条)も問題になる |
| 電話やメールで申込みを受け、口座に先払いしてもらう | 規則2条2号と4号の方法に当たり、通信販売に当たり得る | 支払の時期の書き方、入金後の通知(法13条) |
| 顧客の自宅や指定の場所に出向き、そこで申込みや契約を受ける | 通信販売ではなく、訪問販売(法2条1項)が問題になり得る | 営業所等以外の場所での申込み・契約か。顧客が自宅への訪問を請求した場合の整理(法26条6項) |
| 事業者から電話をかけて勧誘し、郵便等で申込みを受ける | 通信販売ではなく、電話勧誘販売(法2条3項)に当たり得る | 勧誘の電話があったか。顧客が電話をかけてきた経緯 |
このように、同じ「予約制のサービス」でも、取引の実態次第で、通信販売、訪問販売、電話勧誘販売、またはいずれにも当たらない取引に分かれます。実務では、判断が難しい場合に、通信販売の表示事項をそろえておく選択肢があります。通信販売に当たらない取引に表記を載せることを、法は禁じていません。ただし、載せた以上は、記載と実際の取引が一致していなければなりません。任意で載せる場合の注意は、不備の指摘とよくある質問で扱います。
ここで間違いやすいのは、「店舗がある」ことを理由に、通信販売ではないと決めてしまうことです。店舗の有無ではなく、契約の申込みをどの手段で受けているかが、条文の見る点です。ウェブ予約と事前決済を組み合わせ、来店は役務を受ける場所にすぎない形は、店舗があっても通信販売に当たり得る、という前提で点検します。
適用除外(1):事業者向けの取引と、個人と事業者が混じる場合
法26条1項1号は、売買契約または役務提供契約で、申込みをした者が営業のために、または営業として締結するもの、あるいは購入者や役務の提供を受ける者が営業のために、または営業として締結するものに係る販売や役務の提供を、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の規定の適用から除いています。表記の面でいえば、事業者を相手にする取引には、法11条などの表示は求められない、ということです。
条文の骨子適用除外(法26条1項)
- 柱書訪問販売、通信販売または電話勧誘販売に該当する次の販売・役務の提供には、これらの章の規定を適用しない
- 1号申込みをした者、または購入者・役務の提供を受ける者が、営業のために、または営業として締結するもの
- 2号本邦外に在る者に対する商品もしくは権利の販売または役務の提供
- ほか国や地方公共団体が行うもの、特定の団体の構成員向けのもの、特定の業法の下で行われるものなど、号ごとに定めがある
業種や主体によって適用除外が定められている場合があります。該当しそうなときは、条文の各号を直接確認してください。
判断のしかたで重要なのは、基準が買い手側の目的であることです。売り手が「事業者様向けのサービスです」と掲げていても、実際に申込みを受ける相手が、私用で利用する個人であれば、その取引は適用除外に当たりません。反対に、個人事業主でも、事業のために購入する取引は営業のために締結されるものです。個人名義であることや、屋号の有無だけでは決まらず、取引の実態に即した判断になります。
事業者向けのサービスの整理
| 取引の形 | 適用除外の見立て | 確認する点 |
|---|---|---|
| 法人・個人事業主だけを対象とし、申込みの段階で事業者であることを確認している | 営業のために締結される取引に当たりやすい | 確認の方法が実効的か。誰でも通過できる確認欄になっていないか |
| 事業者向けとうたうが、誰でも申込める | 個人が私用で申込む取引は、適用除外に当たらない | 私用の個人が申込める設計のままでないか |
| 事業者向けと個人向けでプランが分かれている | 事業者向けプランは除外に当たり得る。個人向けプランは通常の通信販売 | 表記を個人向けに合わせて作るか、プランごとに分けるか |
| 個人事業主が、事業と私用の両方に使えるサービスを購入する | 利用目的の実態による | 申込み時に利用目的を確認するか。確認の記録が残るか |
| 事業者が、社内のためでなく、自分の個人的な用途で購入する | 営業のために、とはいえない取引に当たり得る | 取引ごとに、買い手の目的で判断する |
個人と事業者が混じる場合の実務上の整理としては、個人向けの取引が一つでもあり得るなら、表記を個人向けに合わせてそろえるのが無難です。事業者向けの取引だけを除外として扱う運用は、事業者であることを確認する仕組みが、実際に機能していることが前提になります。確認の仕組みがないまま「事業者向け」と書くだけでは、除外の根拠として心許ないといえます。事業者向けの色が強い制作や相談のサービスの表記は制作・相談型の表記でも扱います。
適用除外(2):国外の顧客への販売
法26条1項2号は、本邦外に在る者に対する商品もしくは権利の販売または役務の提供を、適用除外としています。条文が基準にしているのは、顧客がどこにいるかです。サイトの言語が英語や中国語であるかどうか、事業者が国内にいるかどうかは、この号の直接の基準ではありません。
国外の顧客の整理
| 取引の形 | 2号との関係 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 日本の事業者が、日本国内にいる顧客に販売する | 2号に当たらない | 通常の通信販売として、表記が要る |
| 日本の事業者が、日本国外にいる顧客だけに販売する | 2号に当たる方向 | 顧客の所在を、申込みの時点でどう把握するか。国内の顧客が申込める設計になっていないか |
| 外国の事業者が、日本国内にいる顧客に販売する | 顧客は本邦に在る者であり、2号の適用除外に当たらない | 日本の顧客に向けた販売への法の適用の細かい点は、条文と所管官庁の資料で確認が必要 |
| 訪日前の外国人が、海外から日本国内のサービスを予約する | 申込みの時点で、顧客が本邦外に在る者かが問題になり得る | 予約時と提供時のどちらで見るかは、条文と所管官庁の資料で確認が必要 |
| 日本に滞在する外国人が、日本国内にいる間に申込む | 顧客は本邦に在る者 | 言語が日本語でなくても、通常の通信販売として扱う前提で点検する |
日本向けに事業を行う外国の事業者が、自国の消費者法に基づく取引条件の開示だけを置き、日本の特定商取引法に基づく表記を別に置いていない、という形は、日本国内の顧客に向けた販売である限り、2号の除外に当たらないため、日本の表示事項の検討が要ります。逆に、日本の事業者が海外の顧客だけに販売するなら、日本の表記は法の義務としては求められにくく、販売先の国の法律の表示が問題になります。その場合の外国法の内容は、このサイトの対象外です。
確認の問いと理由適用の判定で確かめる問い
申込みは、どの手段で受けているか。
郵便等に当たる手段なら、通信販売の入口に立つ。来店のみなら、定義に当たらない方向になる。
予約の時点で、価格やキャンセル料が確定しているか。
予約が契約の申込みと評価されるかを分ける手がかりになる。
申込む人が、事業のために申込むと、どう確認しているか。
事業者向けの除外は、買い手の目的で決まる。確認の仕組みがなければ、除外の根拠が弱くなる。
国内の顧客が、海外向けのサービスに申込める設計になっていないか。
顧客の所在が基準のため、国内の顧客を受けられる設計は、2号の除外から外れる。
出張先や自宅での申込み、電話での勧誘が入る場面はないか。
訪問販売や電話勧誘販売に当たる場合、通信販売の表示だけでは足りない。
他の類型が同時に問題になるとき:表記だけでは足りない取引
同じサービスが、通信販売にも、別の類型にも当たることがあります。たとえば、ウェブで予約を受けて提供するサービスで、顧客の自宅に出張して契約を結ぶ場面があるなら、その場面は訪問販売の問題になります。電話で事業者から勧誘して申込みを受けるなら、電話勧誘販売です。長期・高額の継続的なサービスは、特定継続的役務提供に当たることがあります。こうした類型では、書面の交付やクーリング・オフ等の定めが、通信販売の表示とは別に適用されます。
通信販売と重なり得る類型
| 類型 | 条文 | きっかけになる場面 | 別に必要になるもの |
|---|---|---|---|
| 訪問販売 | 法2条1項、4条・5条 | 営業所等以外の場所で申込みや契約を受ける。呼び止めて同行させた顧客との契約(特定顧客) | 申込みの内容を記載した書面と、契約内容を明らかにする書面(顧客が自宅への訪問を請求した場合の整理は法26条6項) |
| 電話勧誘販売 | 法2条3項、18条・19条 | 事業者から電話をかけ、またはかけさせて勧誘し、郵便等で申込みを受ける | 申込みの内容を記載した書面と、契約内容を明らかにする書面 |
| 特定継続的役務提供 | 法41条、42条 | 政令で定める期間を超え、政令で定める金額を超える、継続的な役務で、政令が定めるもの | 契約前の概要書面と、契約後の契約書面 |
| 連鎖販売取引 | 法33条 | 特定利益を収受し得ることをもって誘引し、特定負担を伴う取引をする、物品の再販売等の事業 | 連鎖販売取引の書面と表示(別の章で扱われる) |
これらの類型の判定は、サービスの種類、契約の期間、金額、勧誘の方法、紹介による収入の仕組みなど、多くの事実で決まります。このサイトでは、類型の判定そのものには入らず、表記のページを作る場面で、他の類型の疑いがあるときに何を確かめるか、を示します。対面や出張型のサービスでの確認は対面・出張・予約型サービスの表記でまとめます。
他の類型が重なるときに、避けたいのは、「通信販売にはクーリング・オフがない」という通信販売の説明を、そのままサービス全体の説明にしてしまうことです。表記の返品・キャンセルの欄で「クーリング・オフはない」と書く場合にどのような留保が要るかは、返品・キャンセル・解約の書き方で扱います。
サービスの種類別の入口判定の例
ここまでの整理を、サービスの種類に当てはめて示します。表の「見立て」は、条文の言葉に照らした入口の見立てで、結論ではありません。実際の判断では、申込みの手段、支払の時期、顧客の層、提供の場所を、一つずつ確かめます。
サービス別の入口判定の例
| サービスの種類 | 申込み・提供の形 | 入口の見立て | 次に確かめること |
|---|---|---|---|
| 施術・サロン | ウェブ予約。来店して施術を受け、代金は来店時に支払う | 予約が契約の申込みと評価されるかで分かれる | 予約時に料金とキャンセル料が確定するか。事前決済を導入していないか |
| レッスン・教室 | ウェブで申込みと月謝の自動引落しの登録を受ける。教室で提供する | 申込みを郵便等で受けており、通信販売に当たり得る | 継続契約の表示(規則23条7号)。長期・高額なら特定継続的役務提供の確認 |
| 出張撮影 | ウェブで申込みを受け、顧客が指定する場所に出向く | 申込みはウェブ(通信販売)。出張先で契約を結ぶなら訪問販売の場面も | 出張先で追加の契約を結んでいないか。顧客の請求による訪問か(法26条6項) |
| オンライン講座・個別セッション | ウェブで申込みと事前決済。オンラインで提供する | 通信販売に当たる | 動作環境の表示(規則23条6号)の要否。継続・高額なら別の類型の確認 |
| 相談・コンサルティング | メールやフォームで申込み、オンライン面談で提供する | 個人向けなら通信販売に当たり得る。事業者向けなら適用除外(法26条1項1号)になり得る | 顧客が事業のために申込むか。個人が混じらないか |
| 制作・代行 | ウェブで依頼を受け、成果物を納品する | 個人からの依頼を受けるなら通信販売に当たり得る | 見積り制か。着手金の前払いがあるか(法13条) |
| サロンでの物販の併売 | 店頭で販売し、ウェブでも注文を受ける | ウェブ注文の部分は通信販売。店頭の部分は定義に当たらない方向 | ウェブ注文の商品について、返品の特約(法15条の3)をどう表示するか |
この表の使い方は、見立てを確定させることではなく、確かめることの順番をつかむことにあります。たとえば、出張撮影のように、通信販売と訪問販売の両方の場面を含むサービスでは、ウェブの申込みの部分に通信販売の表示を整えたうえで、出張先での契約や追加の申込みがある場合に別の類型の書面を検討する、という二段構えになります。対面・出張型のサービス全体の見方は対面・出張・予約型サービスの表記で、許認可がある業種や仲介型のサービスの見方は許認可の番号とプラットフォーム型の表記で扱います。
判断の記録の残し方
表記が必要かどうかの判断は、一度で終わりません。サービスの内容、申込みの手段、顧客の層、出張の有無などは、運営の途中で変わります。判断の結果と根拠を、日付とともに記録しておくと、条件が変わったときの見直しが楽になります。記録に残す事項は、次のとおりです。
- 取引の概要(提供するサービス、有償か無償か、期間、金額の範囲)
- 申込みの手段(ウェブのフォーム、電話、メール、店頭、出張先など)と、その手段が使われる場面
- 支払の手段と時期(事前決済、来店時、提供後)
- 顧客の層(個人のみ、事業者のみ、両方)と、事業者かどうかの確認の仕組み
- 顧客の所在(国内のみ、国外を含む)
- 他の類型の可能性の検討結果(訪問、電話勧誘、継続的な役務)
- 上記を踏まえた結論(表記を置く/置かない/任意で置く)と、判断した日
記録は、後から表記を見直すときの出発点になります。サービスの内容を追加したり、申込みの手段を増やしたり、海外の顧客の受付を始めたりしたときに、前の判断を前提にしたままにすると、適用の前提が崩れていることに気づけません。見直しの観点は点検と更新で扱います。
起きがちなこと
入口の判定で起きがちなこと
- 店舗があることを理由に、ウェブ予約と事前決済があっても、通信販売ではないと決めてしまう。
- 予約の確定の通知が承諾にあたり得るのに、予約制だからと、通信販売に当たるかの検討を省いている。
- 「事業者様向け」と書いただけで、事業者であることを確認する仕組みがなく、個人が私用で申込める状態になっている。
- 個人向けと事業者向けのプランが混在するのに、事業者向けのつもりで表記を省略している。
- 英語のサイトを作ったことで、外国の顧客向けと考え、日本国内にいる顧客を受けているのに、日本の表記を置いていない。
- 外国の消費者法に基づく取引条件の開示だけを置き、日本の顧客向けの表記が欠けている。
- 無料の体験や相談の入口があることで、全体が無償の役務だと考え、有償のコースの申込みに表記を置いていない。
- 出張先での申込みや、電話での勧誘があるのに、通信販売の表記だけを整えて、別の類型の書面を検討していない。
よくあるご質問
サロンや教室のように来店して受けるサービスでも、特定商取引法に基づく表記は必要ですか?
申込みをどの手段で受けるかで決まります。来店して説明を受け、その場で申込みから支払まで済ませる取引は、郵便等による申込みを受けておらず、通信販売の定義(法2条2項)に当たらない方向です。一方、ウェブのフォームや電話で申込みを受け、事前にオンラインで決済してもらう形は、規則2条が挙げる方法に当たり、通信販売に当たり得ます。予約だけを受けて料金は来店時に払う形は、予約が契約の申込みと評価されるかで分かれ、所管官庁の資料で確認が必要です。
事業者を相手にするサービスなら、表記は不要ですか?
営業のために、または営業として締結される取引は、法26条1項1号により、通信販売の規定の適用から除かれます。ただし基準は買い手側の目的です。「事業者様向け」と掲げても、私用で申込める個人を受けるなら、その取引は除外に当たりません。個人向けと事業者向けが混在する場合は、取引の実態を踏まえ、個人向けに合わせて表記をそろえるのが無難です。
日本から海外の顧客に販売する場合と、外国の事業者が日本の顧客に販売する場合で、扱いは違いますか?
違います。法26条1項2号が適用除外にしているのは、本邦外に在る者に対する販売や役務の提供で、基準は顧客の所在です。日本の事業者が国外の顧客だけに売るなら、日本の表記は法の義務としては求められにくくなります。外国の事業者が日本国内にいる顧客に向けて売る場合は、顧客が本邦に在る者なので、2号の除外には当たりません。言語がどこの国のものかは、この号の基準ではありません。
無料の相談や体験にも、表記が必要ですか?
法は通信販売のうち役務について、有償で役務を提供する契約を前提にしています(法2条1項1号の役務提供契約の定義)。無償の相談や体験の提供それ自体は、この定義に入りません。ただし、無料の入口から、有償のコースの申込みを受ける場合は、有償部分の取引が通信販売に当たり得ます。無料から有料への移行は、価格の書き方の問題にもなります。
表記が不要と判断した取引でも、念のために表記を載せてよいですか?
通信販売に当たらない取引に、通信販売の表示事項を載せることを、法は禁じていません。ただし載せた内容が事実と違えば、実際のものよりも有利であると誤認させる表示として、別の問題になり得ます。載せるなら、記載と実際の取引が一致していること、規約や申込み画面と食い違わないことを確認します。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、サービスの仕組みや申込みから提供までの流れによって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 特定商取引法ガイド(消費者庁)