このページの要点
- 対面のサービスでも、申込みをウェブ・電話・口座払込みで受け、事前に代金を受け取るなら、通信販売に当たり得る(法2条2項、施行規則2条)。
- 来店型・通いの教室・出張・撮影の型ごとに、価格、支払、提供時期、キャンセル、特別条件の欄の書き方が違う。
- キャンセルは、日時の変更、取消料の段階、遅刻、事業者側の中止を場面ごとに書き分ける。
- 出張先で追加契約を結ぶ運用は訪問販売に当たり得る。受入れの基準は特別条件(施行規則23条8号)に要点を書く。
結論:来店や出張で提供するサービスでも、予約や決済に通信の手段を使うなら、通信販売の表記を検討する
サロン、教室、施術、撮影、個別のセッションなど、サービスそのものは対面で提供するものでも、申込みや予約、代金の受取りに、ウェブのフォーム、電話、メール、口座への払込みを使うことは多くあります。通信販売は、郵便その他の主務省令で定める方法(郵便等)で売買契約や役務提供契約の申込みを受けて行う販売や役務の提供で、電話勧誘販売に当たらないものです(法2条2項)。郵便等には、電話機その他の通信機器や情報処理の用に供する機器を利用する方法や、預金・貯金の口座に対する払込みも含まれます(施行規則2条)。サービスが対面であることは、通信販売かどうかを分ける決め手になりません。申込みを受ける手段が通信であるかどうかが、まず問題になります。
そのうえで、通販向けのひな形の欄を、対面・予約型のサービスにどう読み替えるかが、このページの中心です。商品の発送を前提にした「送料」「配送」「返品」といった欄は、そのままでは合いません。反対に、キャンセル料、日時の変更、遅刻、受入れの基準、出張費などが、通販のひな形には欄がないのに、表記に必要になります。読み替えの考え方を、表で横に並べて示します。
申込みの手段の判定は必要かの判定のページで、返品・キャンセルの欄は返品・解約のページで、価格と追加費用は価格・追加費用のページで扱っています。このページでは、それらを前提にして、対面・予約型に共通する欄の型を整理します。
来店型のサービスで、通信販売に当たり得る場面
来店して受けるサービスのうち、どこからが通信販売で、どこからが通信販売でないのかは、申込みの受け方と、契約をどの時点で結ぶかで変わります。次の表は、場面ごとの考え方を整理したものです。個別の取引への当てはめは、サービスの流れによって異なり、所管官庁の資料で確認が必要な部分も残ります。
申込みの受け方ごとの整理
| 場面 | 通信販売に当たり得るか | 考え方 |
|---|---|---|
| 広告を見て来店し、店頭で申し込んで、その場で支払う | 当たりにくい | 郵便等で申込みを受ける取引ではない。ただし、店頭で結ぶ契約でも、街頭で呼び止めて店に同行させたような場合は、訪問販売(法2条1項2号)の問題が別に生じ得る |
| ウェブフォームで予約し、事前にカード等で決済する | 当たり得る | ウェブの手段(施行規則2条2号)で申込みを受け、対価も通信の手段で受け取っている。表記の対象として検討する |
| 口座に事前に振り込んでもらい、予約を確定する | 当たり得る | 預金・貯金の口座に対する払込み(施行規則2条4号)が郵便等に含まれる |
| 電話で予約を受け、代金は当日、現地で受け取る | 整理が分かれ得る | 電話は郵便等に含まれるが(施行規則2条2号)、予約の電話が「契約の申込み」に当たるのか、来店時に改めて契約を結ぶのかで整理が分かれる。申込みを受ける時点を確かめる |
| ウェブで日時だけ押さえ、契約は来店時に書面で結ぶ | 整理が分かれ得る | 申込みを受ける時点が来店時なら、通信販売に当たりにくい。ウェブの予約で契約内容まで確定するなら、当たり得る |
表の下の二行は、実務で最も迷う場面です。判断の軸は、契約の申込みを、いつ、どの手段で受けているかです。予約が日時の確保だけで、契約の申込みや承諾は来店時に行うのであれば、通信販売の広告としての表示義務とは別の整理になります。それでも、ウェブで価格やキャンセル条件を示して予約を受けているなら、表記を出しておくほうが、後で食い違いが生じにくくなります。出す以上は、事実と一致させる必要があります。
対面型サービスの申込みから提供までの流れ
通信の手段で申込みと対価の受取りが完結するほど、通信販売の表記を出す必要性が高くなります。
対面・出張・予約型の欄の読み替え:型を横に並べて比べる
対面・予約型のサービスは、細かく見ると、来店型の施術、通いの教室、出張・訪問、撮影のように成果物を納めるもの、に分かれます。欄ごとに、型の違いが出る点を並べました。同じ名前の欄でも、書く内容が違います。
型ごとの欄の書き方
| 欄 | 来店型の施術・サロン | 通いの教室・レッスン | 出張・訪問 | 撮影・成果物の納品 |
|---|---|---|---|---|
| 価格・追加費用 | メニューごとの料金。指名料、延長、オプション、材料費の別建て | 月謝、入会金、教材費、振替の手数料 | 基本料金のほか、出張費・交通費、駐車場代、時間外の加算 | 撮影料のほか、出張費、衣装・ヘアメイク、データやアルバムの追加料金 |
| 支払方法・時期 | 事前決済か当日払いか、カードや電子マネーの可否 | 月ごとの引落しか、前払いか、回数券か | 事前決済か、現地払いか。現地払いのときは支払の手段 | 予約時に内金、納品前に残金、など時期を分ける |
| 提供時期 | ご予約の日時 | 開講日と曜日・時間、期間 | ご予約の日時と、到着の時間帯 | 撮影日、納品日(撮影後○日以内) |
| キャンセル | 日時変更の期限、取消料の段階、遅刻・無断欠席 | 休会・退会の手続きと期限、振替の可否 | 取消料の段階、天候による中止、出張費の扱い | 撮影日前後の取消料の段階、日程の再調整、納品後の扱い |
| 特別条件 | 年齢、体調の申告、同伴者、対応できない場合の扱い | 年齢・経験の条件、定員、使う道具 | 提供地域、立会い者、作業できる場所の条件 | 撮影できる場所の条件、人数、天候による変更 |
通いの教室やレッスンでは、月謝制や回数券、コースのまとめ払いなど、継続して利用する仕組みが加わります。二回以上継続して契約する必要があるときは、その旨と金額、契約期間その他の条件を表示する必要があります(施行規則23条7号)。月謝なら、1回分の月謝のほかに、入会金、教材費、設備費、振替の手数料があるかを価格の欄に書きます。回数券なら、有効期限、有効期限を過ぎた分の扱い、払戻しの可否を書きます。休会と退会は別の手続きとして書き分け、手続きの期限(たとえば、翌月分の請求の何日前まで)も添えます。これらは、返品・キャンセルの欄に書く内容と重なるため、二つの欄を同じ表現にそろえます。
現地で代金を受け取る運用の事業者は、支払方法の欄に、現地で使える手段(現金、カード、電子マネーなど)を書きます。手段によって料金が変わる場合や、手数料がかかる場合は、その額も書きます。事前決済と現地払いを選べる場合は、選べる範囲と、選び方によってキャンセルの扱いが変わるかどうかも書いておきます。
ここまでの表と説明から言えるのは、型が違っても、「予約の確定」と「取消料の段階」の二つが、欄の中心になることです。通販では、注文を確定したあとの流れは、発送と返品に集約されます。対面・予約型では、予約を確定した瞬間から、提供の日まで、事業者は枠を確保し続けます。そのため、確定後のキャンセルの扱いが、価格の次に重い欄になります。
キャンセル・日時変更・遅刻・提供できない場合の書き方
対面・予約型では、キャンセルだけでなく、日時の変更、遅刻、無断の不参加、事業者側の事情による中止といった複数の場面があり、それぞれの扱いが違います。まとめて「キャンセル規定」と書くと、読み手には、日時の変更が取消料の対象なのか、遅刻で短縮された時間の料金はどうなるのかが分かりません。場面ごとに、一文ずつ書き分けます。
書き方の例(一般的な例) キャンセル・日時変更の欄
日時の変更
理由「お早めに」では、無料で変更できる期限が分からない。期限と、期限後の扱いを書く。
遅刻
理由遅刻の扱いと、料金の扱いを分けて書く。実際の運用に合わせる。
提供できない場合
理由事業者側の中止の場合の扱いを書くと、取消料の条件が一方的に読めなくなる。
見本キャンセル・変更の欄の見本(対面・予約型)
日時の変更
予約日の○日前まで:無料。それ以降:キャンセルとして扱います。
予約確定後
キャンセル
提供日の○日前まで:無料。○日前から前日:代金の○%。当日・無断の不参加:代金の○%。
時期ごとの段階
事業者の都合
天候・機器の故障その他、当社の事情で提供できないときは、日程の変更または全額の返金に応じます。
取消料なし
返金
返金は、お支払いの方法に応じて、○日以内に手続きします。
金額・日数・割合は伏せ字です。規約と同じ数字にします。
取消料の割合は、事業者が自由に決めてよい数字ではなく、事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効になります(消費者契約法9条1号)。この点は規約側で検討することとして、表記には、時期ごとの段階と結論を書きます。
出張・訪問サービスで、訪問販売に当たり得る場面
出張や訪問で提供するサービスは、表記の問題とは別に、訪問販売の規定が働く場面があります。訪問販売は、事業者が営業所等以外の場所で、契約の申込みを受けたり契約を結んだりして行う販売や役務の提供です(法2条1項1号)。営業所等には、営業所、代理店、露店・屋台店、店舗に類する場所などが含まれます(施行規則1条)。顧客の自宅に出張して提供するサービスでは、提供の場所は営業所等以外ですが、問題になるのは、契約の申込みを受けた場所、契約を結んだ場所のほうです。
たとえば、ウェブで予約と契約を済ませ、当日は自宅で施術を受けるだけなら、申込みを受けた場所は営業所等以外ではありません。通信販売として整理するのが自然です。これに対して、出張先でその場で別のコースや追加のオプションを勧めて契約を結ぶ場合は、その契約は営業所等以外の場所で結んだものとなり、訪問販売に当たる可能性が出ます。訪問販売では、書面の交付や、8日間のクーリング・オフ(法9条)の定めが適用されます。
一方、法26条6項1号は、顧客がその住居において契約の申込みをし、または契約を結ぶことを請求した場合の訪問販売には、4条から10条までの規定を適用しないとしています。ただ、この規定は、「訪問してほしい」と依頼しただけの場合に当たるのか、契約そのものを自宅ですることを請求した場合に限るのかが、読み方によって分かれ得ます。どこまでが「請求」に当たるかは、所管官庁の資料で確認が必要です。出張サービスを提供する事業者は、表記の返品・キャンセルの欄に、訪問を受けて契約した場合は法律の定めによる旨の留保を置くことを検討します(返品・解約のページ参照)。
確認の問いと理由出張・訪問型のサービスで確かめる問い
契約の申込みは、ウェブ、電話、現地のどこで受けていますか。
営業所等以外の場所で申込みを受けているなら、訪問販売の問題が出るため。
当日、現地で追加のオプションや別のコースを案内して、契約を結ぶことがありますか。
現地での追加契約が、訪問販売に当たり得るため。
顧客の側から、自宅での契約を求められる運用ですか。
法26条6項1号の適用が関係し得るため。
契約の継続期間と金額は、特定継続的役務提供の要件(法41条、施行令24条・25条)に近づきませんか。
指定された役務で、期間と金額の要件を超えると、別の定めが働くため。判定は別のガイドで扱う。
受入れの基準を「特別条件」に書く:年齢・体調・同伴者
対面のサービスでは、誰でも受けられるとは限らない条件があります。年齢の下限、保護者の同伴、体調や持病に関する申告、妊娠中の方への対応、子どもを対象とするサービスなら、その年齢や状態の条件などです。こうした条件は、施行規則23条8号の「特別の提供条件」に当たり得ます。表記の「特別条件」の欄に、その要点を書き、詳細は規約に置きます。
書き方の例(一般的な例) 受入れ条件の欄
年齢・同伴
理由「同意が必要」では、何を、いつまでに出すのかが分からない。条件と手続きを書く。
体調の申告
理由受けられない場合があること、その場合の扱いを、申込みの前に分かる場所に書く。
提供できない場合
理由「状況による」では判断基準が読めない。基準と、返金の扱いをセットで書く。
基準に当たらずお受けできない場合の連絡の方法と時期も、あわせて書いておくと、申込みをする人が当日に初めて知る事態を防げます。連絡は、予約の確定の前に行うのか、確定の後、提供の前に行うのかで、取消料の扱いも変わります。
受入れの基準を書くときに注意したいのは、基準そのものの当否は、表記の欄の問題ではなく、サービスの運営方針の問題だということです。表記の役割は、基準があること、基準に当たらない場合の扱いを、申込みの前に読み手が知ることにあります。基準の内容を詳しく書く場合は、規約とのずれが生じないように、数字と言葉を合わせます。
出張費・延長・成果物がある場合の価格と提供時期の欄
出張や撮影のように、本体の料金のほかに、複数の追加の費用が発生するサービスでは、価格の欄が長くなりがちです。施行規則23条4号は、法11条1号が定める販売価格・役務の対価以外に、購入者や役務の提供を受ける者の負担すべき金銭があるときに、その内容と額の表示を求めています。出張費、交通費、駐車場代、延長料金、衣装やヘアメイクの費用、データやアルバムの追加の制作費などが当たり得ます。額が距離や時間で変わる場合は、算定の方法と、上限の目安を示すと、申込みをする人が事前に総額を見通せます。
成果物を納めるサービスでは、提供時期が「撮影日」と「納品日」の二つに分かれます。どちらも、期間または期限で書きます。たとえば、「撮影日はご予約の日時、納品は撮影日の翌日から起算して○日以内」のように、起算点を明記します。書き方の詳細は提供時期のページで扱っています。納品物の不具合への対応や、データの保管期間のように、契約の内容を定める事項は、規約に置きます。
起きがちなこと
対面・出張・予約型の表記でよく見られる不備
- 商品の発送を前提にした「送料」「配送」「返品」の欄がそのまま残っている。
- 「キャンセルについて」の欄が1文だけで、日時の変更、遅刻、無断の不参加の扱いが分からない。
- 事業者の都合で提供できなかったときの返金が書かれていない。
- 出張費や交通費、延長料金を、価格の欄ではなく、別のページにしか書いていない。
- 出張先でオプションを勧めて契約を結ぶ運用があるのに、訪問販売の留保が書かれていない。
- 受入れの基準が、規約にだけ書かれ、申込みの前に見える場所にない。
- 撮影日と納品日が分けて書かれておらず、納品までの日数の起算点がない。
- 取消料の割合を、表記と規約で別の数字にしている。
よくあるご質問
来店して受けるだけのサービスでも、特定商取引法に基づく表記を載せる必要はありますか。
申込みの受け方によります。ウェブフォームや電話、メール、口座への払込みで申込みを受け、事前に代金を受け取るなら、通信販売に当たり得ます(法2条2項、施行規則2条)。店頭で申し込んで、その場で支払うだけなら、通信販売には当たりにくくなります。判断が分かれる場面は、所管官庁の資料で確認が必要です。
電話で予約を受け、支払いは現地で行う場合は、表記が必要ですか。
電話は郵便等に含まれます(施行規則2条2号)。予約の電話が契約の申込みに当たるのか、来店時に改めて契約を結ぶのかで整理が分かれます。申込みを受ける時点を確かめ、迷う場合は、表記を出して事実と一致させておくと、食い違いが起きにくくなります。
出張先で追加のコースを勧めて契約すると、訪問販売になりますか。
営業所等以外の場所で契約の申込みを受けたり契約を結んだりすると、訪問販売に当たる可能性があります(法2条1項1号)。その場合、書面の交付や、8日間のクーリング・オフ(法9条)の定めが適用されます。顧客が自宅での契約を請求した場合の適用除外(法26条6項1号)の範囲は、所管官庁の資料で確認が必要です。
受入れの基準(年齢や体調の条件)は、表記と規約のどちらに書きますか。
要点を表記の特別条件の欄(施行規則23条8号)に書き、詳細を規約に置く形が整理しやすいです。申込みの前に、受けられない場合があることと、その場合の扱いが分かることが大切です。表記と規約の言葉と数字は、一致させます。
出張費や延長料金が距離や時間で変わる場合、どう書けばよいですか。
追加の金銭は、内容と額の表示が必要です(施行規則23条4号)。額が一定でないときは、算定の方法と、上限や目安を示す形が考えられます。申込みをする人が、事前に総額を見通せるかどうかが基準です。「別途お見積り」だけで足りるかは、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、サービスの仕組みや申込みから提供までの流れによって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 特定商取引法ガイド(消費者庁)