このページの要点
- 後半の欄は法11条6号と施行規則23条5号〜10号に対応し、該当する事項があるときだけ書く。
- 動画視聴型のサービスは6号の動作環境、継続課金や自動更新は7号の金額・期間・更新・解約を、実際の仕組みどおりに書く。
- 特別条件(8号)には、受入れの基準・地域・数量などを書き、免責や裁判管轄などの契約条項は規約に置く。
- 成果の非保証や個人差の注意書きは、他の表示が事実どおりであることが前提。法12条・施行規則26条の誤認表示の禁止と矛盾させない。
結論:表記の後半の欄は、施行規則23条の各号に分けて読むと、書く内容が決まる
「特定商取引法に基づく表記」の後半には、ひな形によって「動作環境」「特別な販売条件」「注意事項」「その他」といった欄が並びます。これらの欄は、法11条6号が「主務省令で定める事項」を表示するよう求め、それを受けて施行規則23条が定めている事項に対応しています。23条は1号から10号まであり、住所や電話番号(1号〜3号)、追加の金銭(4号)は、別のページで扱いました。このページが扱うのは、5号から8号と、9号・10号の位置づけ、そして、条文には定めがないのに表記に書かれがちな「注意書き」の扱いです。
結論を先に言うと、後半の欄は「サービスに該当する事項があるときだけ書く」ものがほとんどです。契約不適合責任の定め(5号)は、定めがあるときに書きます。利用に必要な環境(6号)は、プログラムの記録物の販売や、パソコンを使ってコンテンツを見せる役務に限って書きます。継続して契約する必要があるとき(7号)、特別な条件があるとき(8号)も同じです。すべてのサービスに全部の欄が必要なわけではなく、該当しない欄を埋めるために無関係な文を書く必要もありません。そのうえで、該当するのに書いていない欄がないかを、号ごとに確かめます。
価格や追加費用は価格・追加費用のページ、返品やキャンセルは返品・解約のページで扱っています。表示事項の全体像は全体像のページにあります。
施行規則23条5号から10号の読み方
施行規則23条5号〜10号の整理
| 号 | 内容 | 当たりやすいサービス | 欄に書くこと |
|---|---|---|---|
| 5号 | 引き渡された商品が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるとき、その内容 | 商品を引き渡すもの(物販、制作物を物として納めるもの) | 責任を負う期間、連絡の方法、修理・交換・返金などの対応 |
| 6号 | プログラムを記録した物の販売、映画・音楽・写真などを電子計算機で鑑賞・観覧させる役務、プログラムをファイルに記録させる役務の、利用に必要な電子計算機の仕様・性能その他の条件 | 動画の視聴型講座、オンライン視聴の会員制、ソフトの提供 | 対応するOS・ブラウザ、通信環境、必要な機器、アプリの有無 |
| 7号 | 契約を二回以上継続して締結する必要があるとき、その旨と金額、契約期間その他の条件 | 定期的に提供するもの、回数をまとめて契約させるもの | 総額または1回分の額、契約期間、更新の方法、解約の条件 |
| 8号 | 販売数量の制限その他の特別な販売条件・提供条件があるとき、その内容 | 受入れの基準、地域、数量・回数・定員に限りがあるもの | 年齢・体調などの条件、提供できる地域、数量・回数の制限 |
| 9号 | 一部の事項を表示せず、請求により書面等を提供する方式で、請求した者に金銭を負担させるとき、その額 | 請求開示の方式を使い、費用を請求するもの | 書面等の交付にかかる費用の額 |
| 10号 | 通信販売電子メール広告をするときの、電子メールアドレス | メールでの広告を送るもの | 広告メールの送信元として使う電子メールアドレス |
この表の6号から10号は、「ある場合に」の条件が付いています。たとえば9号は、請求開示の方式をとり、しかも請求した人に費用を負担させるときだけです。費用をかけずに交付するなら、書く事項はありません。10号も、通信販売電子メール広告を行わないなら、書く事項はありません。それでも、ひな形に「メールアドレス」の欄があるために、問合せ用のアドレスを書く事業者は多くあります。問合せ用に書くこと自体は問題ありませんが、23条10号との関係は、広告メールを送るかどうかで決まります。
契約不適合責任(5号)と、利用に必要な環境(6号)
5号は、「引き渡された商品」についての定めです。商品を引き渡さない役務のみのサービスでは、通常は当たりません。対面の施術や、レッスン、相談などでは、この欄に書く内容はないのが普通です。一方、制作や撮影のように、成果物(物としての印刷物、記録媒体、現物の制作品など)を引き渡すサービスでは、成果物の不具合への対応を定めているかどうかが論点になります。定めがあるなら、その内容を書きます。民法の規定に委ねて特別な定めを置かないなら、特別な定めはない旨を書くかどうかは任意ですが、書くなら事実と合わせます。成果物をデータで納める場合に、商品の引渡しと見るか役務の提供と見るかは、取引の実態で整理が分かれ得ます。所管官庁の資料で確認が必要です。
6号は、動画で学ぶ講座や会員制のサービスで、書き漏れが目立つ欄です。施行規則23条6号は、電子計算機を使って映画、演劇、音楽、スポーツ、写真、絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞・観覧させる役務を挙げています。動画を視聴させる講座は、この類型に当たり得ます。この場合、利用に必要な電子計算機の仕様・性能その他の条件を表示します。具体的には、対応するOSとブラウザ、通信速度の目安、必要な機器、専用アプリの有無、ライブ配信なら使用するツールなどです。
見本動作環境の欄の見本
対応環境
パソコン:○○(OS)の最新版から○世代前まで、○○(ブラウザ)の最新版。スマートフォン・タブレット:○○(OS)○以降。
施行規則23条6号
通信環境
動画の視聴には、安定した通信環境(目安:下り○Mbps以上)が必要です。
必要な条件
その他
ライブ配信を受講する場合は、○○(ツール)をご利用いただきます。事前のインストールが必要です。
見本の数字は伏せ字です。実際の環境は、サービスの提供時点で動作を確認した範囲を書きます。
動作環境は、変更のたびに更新が必要になる欄です。「最新のOSに対応」とだけ書くと、対応していないバージョンが出たときに実際と食い違います。確認した範囲を、日付とともに記録しておき、変更したら表記を改めます。
継続して契約する必要があるとき(7号):継続課金・自動更新・無料期間後の課金
7号は、商品や役務の契約を二回以上継続して締結する必要があるときに、その旨と金額、契約期間その他の販売条件・提供条件を表示するよう求めています。定期的に商品を届ける契約、月ごとに会費を払う会員制、回数をまとめて契約させるコースなどが典型です。自動更新や、無料期間の後に有料に移行するしくみが7号に直接当たるかどうかは、契約の組み立て方によって整理が変わります。ただ、どの構成でも、申込みをする人が「何回、いくら、いつまで続くのか」を知らないまま申し込むことがないように書くことが、この欄の役割です。
書き漏れが多いのは、次の四つです。一つ目は、1回あたりの金額だけで、総額や契約期間が書かれていないこと。二つ目は、自動更新があるのに、更新の有無と更新後の料金が書かれていないこと。三つ目は、無料期間があるのに、期間が終わると自動的に有料になる旨と、その料金・日付が書かれていないこと。四つ目は、解約の方法と期限(次回の請求日の何日前までか)が書かれていないことです。これらは、価格、支払時期、解除の欄にも関係するため、七号の欄と他の欄の記載を一致させておきます。
継続して契約する場合は、申込みを受ける画面の表示とのつながりも確かめます。法12条の6第1項1号は、申込み画面に、商品や役務の分量を表示するよう求めています。何回分、何か月分の契約なのかが、分量に当たります。同項2号は、価格、支払時期・方法、提供時期、申込みの期間、撤回・解除の事項も、申込み画面に表示するよう求めています。継続課金なら、各回の金額と、総額が定まるときはその総額、更新の有無、解約の条件が、申込みのボタンを押す前の画面で読めるようにします。表記ページに詳しく書いてあっても、申込み画面に出ていなければ、申込みをする人にとっては、見ないまま契約する形になります。法12条の6第2項は、これらの事項について人を誤認させる表示を禁じています。たとえば、初回の金額だけを大きく示し、2回目以降の金額を別の場所に小さく書く画面は、この観点から見直す必要があります。
書き方の例(一般的な例) 継続課金の欄
金額と期間
理由「ご利用の間」では、契約期間も更新の仕組みも分からない。最低期間と更新の方法を書く。
無料期間
理由無料から有料に移る点を、価格・期限とともに書く。法12条の有利誤認の防止にもなる。
解約
理由解約の方法・期限・日割りの有無は、キャンセルの欄に書く内容と重なる。二つの欄で同じ文にする。
特別な販売条件・提供条件(8号)に書くこと、書かないこと
8号は、販売数量の制限その他の特別な条件があるときに、その内容を表示するよう求めています。「数量の制限」はあくまで例示で、サービスの提供条件も含まれます。ここは、事業者が最も広く使う欄ですが、同時に、規約に置くべき内容まで流れ込みやすい欄でもあります。判断の目安は、「それを知らずに申し込むと、期待したとおりに受けられない可能性がある条件か」という点です。
特別条件の欄に書く内容の判定
受入れの基準(年齢の下限・上限、保護者の同伴、体調の申告など)
○足りる
基準を満たさないと受けられない条件は、申込みの前に知らせる必要がある。8号の「特別の提供条件」に当たり得る。
提供できる地域(出張の範囲、来店のみ、国内のみ)
○足りる
地域の限定は、提供条件そのもの。申込みの前に分かる場所に書く。
数量・回数・定員の制限
○足りる
8号が例示する販売数量の制限に当たる。先着順や定員で締め切るなら、申込みの期間(法11条4号)とも関わる。
免責の条項(損害賠償の範囲、責任の制限)
×足りない
契約の内容を定める条項で、表示事項ではない。規約に置く。表記に書くと、規約と食い違いやすい。
裁判管轄、準拠法、知的財産権、禁止事項
×足りない
規約に置く内容。表記の「特別条件」の欄に書く必要はない。
「規約が優先します」とする特記
△条件つき
食い違いが生じたときの優先順位を示す意図で書かれる。ただし、表示した条件と異なる扱いを規約で認めるように読めると、表示の趣旨と合わなくなる。数字と条件は一致させる前提で使う。
受入れの基準を書くときは、その基準が実際の運用と合っていることが大切です。たとえば、「満○歳以上」と書いていながら、実際は年齢の制限なく受け入れているなら、書いた内容が事実と異なります。逆に、運用上は断ることがあるのに書いていなければ、期待して来た人が受けられない事態になります。受入れの基準は、サービスの内容に応じて、健康上の安全に関わる事項、設備の都合による事項、保険の都合による事項に整理し、申込みの前に確認できる場所に、事実どおりに書きます。
成果の非保証・個人差・注意書きの置き方
表記の末尾に、「効果には個人差があります」「成果を保証するものではありません」「医療行為ではありません」といった注意書きが置かれることがあります。これらの注意書きは、施行規則23条のどの号にも直接対応していません。置いてはいけないということではありませんが、置いた文が、他の表示と矛盾しないかを確かめる必要があります。
基準になるのは、法12条と施行規則26条です。法12条は、役務の内容その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良であり、あるいは有利であると誤認させる表示を禁止しています。施行規則26条1号は、その対象に、役務の種類、内容、効果を挙げています。景品表示法5条1号も、役務の品質その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁止しています。広告やサイトの他の箇所で「必ず痩せる」「確実に合格できる」と強く打ち出しながら、表記の隅で「個人差があります」と小さく書くだけでは、全体として与える印象が優良誤認とされる可能性が残ります。注意書きは、他の表示の効果を打ち消す道具ではなく、他の表示が適正であることを前提に、補足するものです。
書き方の例(一般的な例) 成果に関する注意書き
成果の非保証
理由何について保証しないのか(結果の内容)を具体的に書く。他の表示で成果を強く示さないことが前提。
性質の説明
理由「医療行為ではありません」だけでは、何を提供するのかが分からない。提供する内容を先に書き、実態に合う言葉を選ぶ。
個人差
理由「個人差」の対象を具体的にする。体験談の使い方は景品表示法の観点でも確認する。
注意書きを増やしても、安心にはなりません。注意書きは、広告全体の表示が事実どおりであることを前提にしたものです。事実と異なる表示そのものを直すことが、先です。
申込み画面に出す事項、表記ページに出す事項、規約に置く事項
後半の欄を書くときに混乱しやすいのが、どの内容を、どの場所に置くのかです。法12条の6第1項は、申込みを受ける画面に、分量と、法11条1号から5号までの事項を表示するよう求めています。つまり、価格、支払、提供時期、申込みの期間、撤回・解除の事項は、申込み画面にも必要です。一方、23条に由来する事項(住所・電話番号、追加費用、契約不適合責任、動作環境、継続契約、特別条件)は、法11条6号に由来する事項であり、表記ページを含む広告に表示するものとして整理されています。ただし、たとえば追加費用は、価格の判断に直結するため、申込み画面でも分かる位置に示すのが現実的です。
事項と置き場所の整理
| 事項 | 表記ページ | 申込み画面 | 規約 |
|---|---|---|---|
| 価格、支払、提供時期、申込みの期間、撤回・解除(法11条1号〜5号) | 書く | 書く(法12条の6第1項) | 詳細を書く。数字は表記と一致させる |
| 追加費用(施行規則23条4号) | 書く | 価格の判断に関わるため、分かる位置に | 詳細な算定方法を書く |
| 継続契約(同7号) | 書く | 契約期間・更新・解約が分かるように | 更新の手続き、解約の手続きの詳細 |
| 動作環境(同6号) | 書く | 必要に応じて | 禁止事項、対応外の環境での免責の扱い |
| 特別な条件(同8号) | 要点を書く | 受入れの基準などは申込みの前に | 免責、禁止事項、裁判管轄など契約の内容 |
| 成果に関する注意書き | 他の表示と矛盾しない形で補足 | 必要に応じて | 成果の保証をしない旨の契約条項 |
確認の問いと理由後半の欄を点検するための問い
このサービスは、商品を引き渡しますか。
5号の契約不適合責任の欄が必要かどうかが決まるため。
動画の視聴、ソフトの利用、ライブ配信など、機器や環境に依存する提供がありますか。
6号の動作環境の欄が必要かどうかが決まるため。
二回以上の契約や、自動更新、無料期間後の課金がありますか。
7号の欄に、金額、期間、更新、解約を書く必要があるため。
受入れの基準、提供地域、数量や定員の制限がありますか。
8号の特別条件に書く内容かどうかを決めるため。
表記の注意書きが、広告やサイトの他の表示と矛盾していませんか。
法12条の誤認表示の問題になり得るため。
起きがちなこと
後半の欄でよく見られる不備
- 該当しない「契約不適合責任」の欄に、民法の条文をそのまま書き写している。
- 動画の視聴型の講座なのに、対応するOSやブラウザ、通信環境の欄がない。
- 継続課金の金額だけを書き、契約期間、自動更新、解約の期限が書かれていない。
- 無料期間の後に自動で有料になる旨と、その日付・金額が書かれていない。
- 特別条件の欄に、免責、裁判管轄、禁止事項などの規約の内容が長く書き込まれている。
- 受入れの基準を書いたが、実際の運用と合っていない。
- 広告で成果を強く示しながら、表記の隅に「個人差があります」とだけ書いている。
- 動作環境の欄が、サービス開始時のまま更新されていない。
よくあるご質問
契約不適合責任の欄は、役務のみのサービスでも書く必要がありますか。
施行規則23条5号は、引き渡された商品が契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めが「あるとき」に、その内容を表示するよう求める規定です。商品を引き渡さない役務のみのサービスでは、通常は当たりません。成果物を物として引き渡すなど、商品の引渡しを伴う場合は、その対応についての定めがあるかを確かめます。
動画を見せる講座では、どんな動作環境を書きますか。
施行規則23条6号が、電子計算機で映画や写真などを鑑賞・観覧させる役務について、利用に必要な電子計算機の仕様・性能その他の条件の表示を求めています。対応するOSとブラウザ、通信環境の目安、必要な機器、専用アプリの有無、ライブ配信で使うツールなどを、提供時点で確認した範囲で書きます。
自動更新のサービスで、解約の期限はどこに書きますか。
継続して契約する必要があるときの条件(施行規則23条7号)と、解除に関する事項(法11条5号)の両方に関わります。解約の方法、期限(次回の請求日の何日前までか)、日割りの有無を、継続契約の欄とキャンセルの欄で同じ文にしておくと、食い違いを防げます。
表記に「個人差があります」と書けば、効果をうたってもよいですか。
注意書きがあるからといって、広告の表示が適正になるわけではありません。法12条と施行規則26条は、役務の効果について著しく事実に相違する表示や、著しく優良だと誤認させる表示を禁じています。景品表示法5条1号も同様です。注意書きは、他の表示が事実に沿っていることを前提に補足するものと考えます。
表記ページに規約の条項を書き足してもよいですか。
書くこと自体が禁じられているわけではありませんが、表記と規約に同じ内容を書くと、改定のたびに数字や条件が食い違いやすくなります。表記には、法11条と施行規則23条が求める事項を正確に書き、免責や裁判管轄などの契約条項は規約に置いて、数字と条件は一致させます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、サービスの仕組みや申込みから提供までの流れによって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 特定商取引法ガイド(消費者庁)