許認可の番号とプラットフォーム型の特商法表記

許可や登録の番号は業法の義務として載せ、表記の他の欄と食い違わないようにします。仲介型のサービスでは、誰が販売者かを申込み前に読める形で書きます。

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番号を載せるほど、「当社は当事者ではない」という一文との矛盾が目立ちます。番号の欄と販売者の欄は、同じ事実で書き分けます。

このページの要点

  • 許可番号・登録番号の欄は、施行規則23条の追加事項に含まれていない。番号の表示は、古物営業法12条2項や旅行業法などの業法が別に定める義務で、特商法の表記とは根拠も場所も別である。
  • 登録を受けた旅行業者が旅行業務として行う取引は、法26条1項8号ハにより通信販売の規定から外れるが、除外は旅行業務に限られ、登録前の契約や申込みには施行令12条により適用がある。
  • 「未取得(取得予定)」と書いて取引を受け付けると、許可なく営業している状態を示す書き方になり得る(古物営業法3条、31条1号)。取扱いを始める前に許可を受ける。
  • 仲介・マッチング型では、販売者、価格を決める者、代金の請求主体、返金の主体、連絡窓口を、運営者と出店者のどちらとして書くかを決め、申込み前に読める形で表示する。

最初に結論:番号は業法の義務、表記は事実の一致、仲介型は「誰が販売者か」を先に決める

許可や登録の番号は、特定商取引法に基づく表記に必ず載せなければならない項目ではありません。法11条6号を受けた施行規則23条は、表記に加える事項を1号から10号まで挙げていますが、そのなかに許可番号や登録番号の欄はありません。番号を表示するかどうかは、古物営業法や旅行業法のような、その事業を規制する法律(以下「業法」)の定めで決まります。業法の表示と特商法の表記は、根拠も、載せる場所も、守らなかったときの結果も別の義務で、一方を満たしても他方を満たしたことにはなりません。

そのうえで、表記ページに番号を載せるなら、番号が示している資格と、表記ページの他の欄が食い違わないようにします。食い違いが起きやすいのは、予約の仲介、マッチング、マーケットプレイスのようなプラットフォーム型のサービスです。「販売者」「価格を決める者」「返金の主体」「連絡先」を運営者と出店者のどちらとして書くかが決まっていないと、番号を載せるほど、読む人には誰が責任を負うのか分からなくなります。

このページでは、業法の表示と特商法の表記の関係、登録を受けた事業者の取引が特商法の通信販売の規定から外れる場合、番号欄の書き方(「未取得」「取得予定」と書く問題を含む)、プラットフォームで販売主体を示す書き方、出店者に表示してもらう仕組みの順に説明します。表記が必要かどうかの入口の判定は特定商取引法に基づく表記は必要かの判定、事業者名や住所の欄そのものは事業者名・住所・電話番号の書き方で扱っているので、ここでは「番号」と「主体」に絞ります。業法の許可や登録の要件と手続そのものは扱いません。

業法の表示と特商法の表記は、別の義務

古物営業法12条2項は、古物商と古物市場主に、氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号を、インターネットで公衆の閲覧に供することを求めています。常時使用する従業者が5人以下である場合や、管理するウェブサイトを持っていない場合は、国家公安委員会規則で例外とされています(同条項、古物営業法施行規則13条の2第1項)。取り扱う古物に関する事項を電気通信回線で公開し、取引の申込みを国家公安委員会規則で定める通信手段で受ける営業の方法を用いる古物商(特定古物商)は、この例外の対象になりません(古物営業法12条2項、5条1項6号)。掲載の方法は、その古物商のウェブサイトへの掲載です(同規則13条の2第2項)。

旅行業法は、旅行業者と旅行業者代理業者(以下「旅行業者等」)に、営業所での標識の掲示(12条の9)、旅行者と契約するときの取引条件の説明と書面の交付(12条の4)、企画旅行の募集広告に表示する事項(12条の7)、誇大広告の禁止(12条の8)などを定めています。登録を受けずに旅行業を営むことは、そもそも認められていません(3条)。

三つの表示の関係(根拠となる条文の対応)

比べる点特商法の表記古物営業法の掲載旅行業法の表示
根拠特定商取引に関する法律11条、施行規則23条古物営業法12条2項、同法施行規則13条の2旅行業法12条、12条の4、12条の7から12条の9
義務を負う者通信販売の広告をする販売業者・役務提供事業者古物商・古物市場主(小規模などの例外がある)旅行業者等(旅行業者と旅行業者代理業者)
表示する内容価格、支払の時期と方法、提供時期、申込みの期間、撤回・解除、事業者名・住所・電話番号ほか氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号広告の種類に応じた事項(企画旅行の募集広告なら、実施する旅行業者の氏名または名称、目的地・日程、対価など)、営業所の標識・料金の掲示など
表示する場所通信販売の広告(請求により提供する旨を表示する例外あり)古物商のウェブサイト広告、営業所、取引条件を説明する書面など
守らなかったとき主務大臣による指示・業務停止の対象(法14条、15条)古物営業法に定める監督と罰則旅行業法に定める監督と罰則

どの欄にも、他方の義務を肩代わりする関係はありません。古物商が古物を通信販売で売るなら、古物営業法のウェブサイト掲載と、特商法の表記の両方が問題になり得ます。両方に事業者名や住所を書くことになるため、同じ事業者の情報が二か所で食い違っていないかも点検の対象です。

条文の骨子表記に加える事項(施行規則23条)には、許可番号の欄がない

  • 規則23条1号氏名または名称、住所、電話番号
  • 規則23条2号法人がウェブ上で広告をする場合の、代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
  • 規則23条3号外国法人・外国に住所を有する個人が国内に事務所等を有する場合の、その所在場所と電話番号
  • 規則23条4号役務の対価など法11条1号の金銭以外に、購入者が負担すべき金銭の内容と額
  • 規則23条5号商品が契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任の定め
  • 規則23条6号プログラムや映像・音楽などを利用するために必要な電子計算機の仕様・性能その他の条件
  • 規則23条7号二回以上継続して締結する必要がある契約の、その旨・金額・契約期間その他の条件
  • 規則23条8号販売数量の制限その他の特別の販売条件・提供条件
  • 規則23条9号・10号請求開示の書面等に費用を負担させるときの額。電子メール広告をするときの電子メールアドレス

許可番号や登録番号を求める号はありません。業法が表示を求めているときは、その業法の定めに従って載せます。

登録や許可を持つことが、特商法の扱いを変える場合

通信販売であっても、特商法が適用されない取引があります。法26条1項は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の規定について、いくつかの販売や役務の提供を適用除外としています。そのなかの8号は、他の法律によって購入者の利益を保護できると認められる取引を挙げ、金融商品取引業者の金融商品取引業、宅地建物取引業者の取引と並んで、旅行業法6条の4第1項に規定する旅行業者と、同条3項に規定する旅行業者代理業者が行う、旅行業法2条3項に規定する役務の提供(旅行業務)を挙げています(法26条1項8号ハ)。

つまり、登録を受けた旅行業者が旅行業務として提供する取引は、特商法の通信販売の規定(表記を含む)の対象から外れ、旅行業法の広告や取引条件の説明の規定が働きます。ただし、除外されるのは旅行業務だけです。同じ事業者が旅行業務ではない商品を通信販売で売るときは、その販売は別に判断します。また、登録を受ける前に締結した契約、登録を受ける前に受けた申込み、その申込みにより登録後に締結した契約は、登録を受けても適用除外になりません(特定商取引に関する法律施行令12条)。

登録・許可と通信販売の表記義務の関係(読み方の整理)

場面特商法の通信販売の規定業法の側
登録を受けた旅行業者が、旅行業務を提供する法26条1項8号ハにより、通信販売の規定は適用されない旅行業法の広告、取引条件の説明、標識の掲示などが適用される
同じ事業者が、旅行業務ではない商品を通信販売で売る適用除外の対象は旅行業務なので、この販売は通信販売の規定の対象になり得る(個別に確認が必要)旅行業法の対象にならない部分
登録を受ける前に申込みを受けた取引施行令12条により、登録後も通信販売の規定が適用される登録を受けるまでは、旅行業としての取扱いはできない
登録を受けていない者が、報酬を得て、旅行者のために宿泊などの契約を媒介する法26条1項8号ハは使えない。取引が通信販売に当たれば表記が問題になる「媒介」は旅行業の定義に含まれる(旅行業法2条1項3号)ため、登録の要否の確認が先に必要
古物商が、古物を通信販売で売る法26条1項8号イからハと施行令別表第二に、古物商の取引を除外する定めは見当たらないため、通常の通信販売として判断する古物営業法12条2項のウェブサイト掲載も問題になる(例外あり)
許可・登録が要らない取扱いだけの事業者通常の通信販売として判断する業法の表示は問題にならない

この整理から分かるように、「許可を持っているから表記は要らない」「許可は要らないから何も載せなくてよい」は、どちらも一般論としては成り立ちません。どの業法の、どの取引に当たるかを先に決めて、それから表記の要否と載せる項目を決めます。通信販売に当たるかどうかの判定は必要かの判定に、除外されない場合の項目ごとの書き方は全体像と4層の対応表にまとめています。

番号欄の書き方:「未取得」「取得予定」と書く問題

ひな形には、「古物商許可番号」「旅行業登録番号」「許可番号」のような欄が付いていることがあります。この欄は、業法の許可や登録が必要な取扱いをしている事業者にとっての欄です。取扱いがなければ欄を置く必要はなく、取扱いがあるなら、その欄の記載は実際の許可や登録と一致していなければなりません。

書き方の当否は、番号の有無そのものよりも、「営業の実態」と「許可・登録の状態」が表記から読み取れる内容と合っているかで分かれます。たとえば、古物営業法3条は、古物商や古物市場主の営業を営もうとする者に公安委員会の許可を受けることを求め、許可を受けずに営んだ者には3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(31条1号)。許可を受ける前の段階で「取得予定」と書いて取引を始めると、許可なく営業している状態を自ら示す文面になります。

番号欄の書き方の当否(一般的な例)

書き方の例判定理由

「許可番号:第○○号(許可をした行政庁の名称)」と、事実のとおりの許可番号と許可をした行政庁の名称を書く

○足りる

業法が番号の表示を求める場合(たとえば古物営業法12条2項は、氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号を求めている)の要件がそろう。許可の内容と表記の事業者名が一致していることが前提。

「許可番号:未取得(取得予定)」と書き、許可が必要な取扱いの申込みを受け付けている

×足りない

許可制の業法では、営業を始める前に許可が要る(たとえば古物営業法3条、31条1号)。取扱いがまだないなら欄を置かず、取扱いを始める前に許可を受ける。取扱いがあるなら、許可なく営業している状態を示す書き方になる。

「許可番号:取得後に記載してください」のような、ひな形の指示文が残ったまま公開されている

×足りない

載せるべき情報が出ておらず、読む人に事実が伝わらない。公開前に空欄と指示文が残っていないかを確かめる。

「許可・登録:不要」と書く

△条件つき

取り扱う内容が許可・登録の対象でなければ事実の記載として誤りではないが、断言するには取扱いの範囲を確かめておく。商品やサービスを増やしたときは書き直す。

表記の事業者名とは別の法人や個人が持つ番号を、そのまま載せる

×足りない

番号は許可・登録を受けた者のもの。自己の名義で他人に営業させることは、古物営業法9条、旅行業法14条が禁じている。表記を読んだ人も、番号の持ち主を取引の相手方と受け取る。

番号の記載は、プラットフォームの審査にも関わります。取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(以下「取引DPF法」)4条は、プラットフォームで表示される販売条件・提供条件の表示が、商品や役務の内容に関する重要事項について著しく事実に相違する、または実際より著しく優良・有利だと誤認させるもので、表示した販売業者等が特定できないなどの要件を満たすとき、内閣総理大臣が利用の停止などを要請できると定めています。その重要事項には、施行規則3条4号が、販売や役務の提供に係る許可、免許、資格、登録または経験を証する事項を挙げています。実在しない番号や他人の番号を載せる表示は、この重要事項の虚偽表示に当たり得ます。

プラットフォーム型で「誰が販売者か」を決める

法11条の表示義務を負うのは、通信販売の広告をする販売業者または役務提供事業者です。出店者や出品者が購入者から直接申込みを受けるサービスでは、出店者が販売業者または役務提供事業者として表示を負う側になります。取引DPF法も、場を提供する者(取引デジタルプラットフォーム提供者)と、場を使って販売・役務提供をする者(販売業者等)を分けて、定義しています(2条2項、4項)。一方、運営者が自分で売るもの、運営者が契約の相手方になるものについては、運営者自身が販売業者または役務提供事業者です。

難しいのは、運営者が「場の提供者」とも「契約の関与者」とも読める中間の形です。予約の仲介、成約手数料を取るマッチング、代金を一度預かって出店者に渡す決済などがこれに当たります。運営者が出店者の販売の広告の主体として扱われるかどうかは、広告の作り方や取引への関与の程度によるため、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。表記ページでは、自社のサービスがどの型に当たるかを決め、型ごとに次の表の内容を、読む人が申込み前に区別できるように書きます。

取引の型ごとの、表記で示すことの整理

型申込みを受ける者表記で示すこと出店者に求めること
運営者が自ら販売・提供する運営者運営者の事業者情報を通常の欄に書く出店者はいない
出店者・出品者が販売し、運営者は場と機能を提供する出店者・出品者運営者としての事業者情報と連絡窓口。販売者は出店者であること、販売者の情報の見つけ方出店者の事業者情報を、各出品ページなどに表示する
運営者が予約や成約を媒介・取次ぎ・代理する契約の相手方になる者(提供者か運営者かは、仲介の形による)契約の相手方が誰か、運営者の役割(取次ぎか、媒介のみか)、手数料の負担者提供者の事業者情報と、許可・登録が要る取扱いの番号
運営者が代金を預かって提供者へ渡す提供者(運営者が代金を受け取る場合)代金の支払先、請求の名義、返金の手続の主体返金の条件を出店者ごとに表示する

これらの型は一つのサービスのなかで混ざることもあります。自社の商品も売りながら、他社の出品も受け付けるサイトでは、取引ごとに販売者を分け、画面上でどちらの取引かが分かるようにします。

また、許可や登録を持つ事業者がプラットフォームを運営するときは、番号を載せた表記と「当社は取引の当事者ではありません」という記載を並べないよう注意が要ります。業法のなかには、許可や登録を受けた者が契約の相手方になる取引について、取引条件の説明や書面の交付などの義務を定めているものがあります。番号を載せながら「当事者ではない」と書くと、読む人には、許可や登録を受けた事業者として責任を負うのかどうかが分かりません。番号を載せるなら、それが示す責任の範囲と、非当事者とする範囲を、取引の種類ごとに書き分けます。

表記ページ上の主体の書き方:よくある書き方と整えた書き方

主体の表示で多いのは、運営者の事業者情報だけを書き、出店者については「各出品者が販売します」の一文で終えるものです。購入者が申込み前に知りたいのは、売主が誰か、代金は誰に払うのか、返金は誰がどのように行うのか、連絡はどこにすればよいか、の四点です。

書き方の例(一般的な例) 販売主体を示す欄

販売者の欄

よくある書き方運営会社の名称と住所だけを書き、「各出品者が販売します」と一文で添える
整えた書き方「運営者は○○です。各商品・サービスの販売者・提供者は出品者です。販売者の名称・所在地・連絡先は、各出品ページの『販売者情報』に表示します」と、運営者と販売者の別、販売者情報の場所を書く

理由購入者が売主を申込み前に特定できる。出店者は法11条の広告の表示義務を負うため、その表示を購入者が見つけられる形にする。

価格の欄

よくある書き方「価格は各出品者が決定します」とだけ書く
整えた書き方「販売価格は出品者が定めます。表示価格は税込です。ほかに購入者の負担となる金額(手数料、送料など)は、申込み画面に表示します」と書く

理由法11条1号の販売価格・役務の対価と、規則23条4号のそれ以外に購入者が負担する金銭を分ける。運営者が受け取る手数料が購入者の負担になるなら、その内容と額が要る。

返金の欄

よくある書き方「返金は出品者と購入者の間で解決してください」とだけ書く
整えた書き方「返金の条件は各出品者の表示によります。代金を運営者が受け取る取引では、返金が決まったときに、支払と同じ方法で運営者が手続します。条件に争いがある場合の連絡窓口は○○です」と書く

理由誰に何を請求できるかが申込み前に分かる。解除に関する事項は、見やすい箇所に明瞭に表示する必要がある(規則24条3号)。

連絡先の欄

よくある書き方「ご連絡は出品者へ直接お願いします」と書き、運営者の連絡先を載せない
整えた書き方出品者への連絡手段(各ページのフォームなど)と、運営者自身の連絡窓口を併記する

理由取引DPF法3条1項1号は、消費者が販売業者等と円滑に連絡できるようにする措置を、運営者の努力義務としている。運営者の窓口がないと、出店者と連絡が取れないときの行き場がなくなる。

決済の欄

よくある書き方「お支払は決済代行会社を通じて行います」とだけ書く
整えた書き方「代金の請求主体は○○です。カードの利用明細には『○○』と表示されます」と、請求の名義まで書く

理由決済代行会社の名称だけでは、誰に対する支払か分からない。支払の時期と方法の欄(法11条2号)の書き方は支払方法・支払時期で扱っている。

返金の欄は、プラットフォームの種類を問わず食い違いやすい欄です。返品・キャンセルの欄に何を書くかは返品・解約の書き方にまとめているので、ここでは主体の書き方に絞りました。

出店者・出品者に表記を出してもらう仕組み

プラットフォームの運営者が、出店者に事業者情報や取引条件の表示を求めるのは、運営者を守るためだけではありません。出店者は自分の通信販売の広告に、法11条の事項を表示する義務を負います。その表示を、出店の登録時と変更時に運営者が集め、購入者の目に触れる場所に出す仕組みを作っておくと、購入者が売主を特定でき、苦情や開示請求が来たときに運営者が対応できます。

取引DPF法は、運営者に三つの措置を努力義務として課しています(3条1項)。購入者が出店者と円滑に連絡できるようにすること、出店者の表示について消費者から苦情の申出があったときに、事情の調査その他の必要な措置を講ずること、必要に応じて出店者の所在に関する情報などの特定に資する情報の提供を求めること、です。いずれも「努めなければならない」という規定で、違反に直接の罰則が置かれているわけではありませんが、同法5条の開示請求の仕組みは、運営者が出店者の情報を保有していることを前提にしています。

出店者の表示を整える流れの例

1登録出店の登録時に、氏名または名称、住所、電話番号、メールアドレス、法人は代表者名と法人番号、許可・登録が要る取扱いは番号を集める
2確認集めた情報が実在するか、番号と名称が一致しているかを確かめる
3表示購入者に見せる項目と、請求があったときに開示する項目を分けて決め、出品ページや販売者情報の欄に出す
4更新出店者が変更したときの届出の方法と期限を決め、表示に反映する
5対応苦情や開示請求を受ける窓口を決め、受付から回答までの手順を作る

取引DPF法5条の開示請求は、債権の額が1万円を超える場合(同法施行規則4条)などに限られ、運営者は原則として出店者の意見を聴きます(同法5条3項)。開示される項目は、氏名または名称、住所、電話番号、メールアドレスなどです(同規則5条)。

確認の問いと理由出店者の表示を決めるときの問い

  1. 出店者が個人の場合、住所と電話番号を購入者に表示するか。

    出店者は自分の広告に法11条の事項を表示する義務を負うが、請求により書面等を提供する旨を表示して一部を省く方法もある(法11条ただし書、規則25条)。運営者が一律に省略を認める設計にするかどうかは、各出店者の広告の作りと合わせて決める。

  2. 許可や登録が必要な取扱いをする出店者に、番号の表示を求めるか。

    古物営業法12条2項のように、業法が出店者自身にウェブ上の掲載を求める場合がある。番号を載せた表示が事実と違うと、取引DPF法4条の要請の対象になり得る。

  3. 出店者が事業者か、個人(消費者)かをどう区別するか。

    特商法は事業者向けの取引を適用除外とし(法26条1項1号)、取引DPF法の「消費者」は事業を行う場合を除く個人をいう(同法2条3項)。区別の仕方が、表示と開示請求の範囲に影響する。

  4. 出店者の表示の変更を、運営者の画面に反映する期限は何日か。

    古い住所や連絡先が出続けると、購入者が連絡できず、開示請求にも古い情報で答えることになる。

起きがちなこと

許認可の番号とプラットフォーム型の表記で起きやすい失敗

  • 許可番号の欄を、ひな形のまま「許可番号:〇〇号」「取得後に記載」と公開してしまう
  • 許可を受ける前から取引を受け付け、表記に「未取得(取得予定)」と書いている
  • 登録番号や許可番号を載せながら、利用規約や表記で「当社は当事者ではない」と書き、責任の所在が読み取れない
  • 「許可を持っているので特商法の表記は要らない」と考え、旅行業務ではない物販や、登録前の申込みを含む取引の表記を作らない
  • 販売者の欄に運営者だけを書き、出店者の名称や所在地を、購入者が申込み前に確認できない
  • 返金の欄に「出品者と購入者の間で解決してください」とだけ書き、代金を運営者が受け取っているのに返金手続の主体を示さない
  • 出店者が登録時に出した情報を更新せず、住所や連絡先の古い表示が出続ける
  • 番号と事業者名が別の法人のもので、グループ内の別会社の番号をそのまま載せている

よくあるご質問

許可番号や登録番号を、特商法の表記に載せないと違反になりますか。

特商法側には、番号を表記に載せることを求める規定はありません。施行規則23条が挙げる追加事項に、許可番号や登録番号の欄はないためです。ただし、古物営業法12条2項のように、業法が別にウェブサイトでの掲載を求めている場合があります。その場合は業法の義務として載せます。両者は別の義務です。

旅行業の登録を受けていれば、特商法の表記は不要ですか。

登録を受けた旅行業者や旅行業者代理業者が行う旅行業務は、法26条1項8号ハにより、通信販売の規定の適用除外になります。除外されるのは旅行業務に限られ、旅行業務ではない商品の販売は別に判断します。また、登録を受ける前に締結した契約や受けた申込みは、登録後も適用除外になりません(施行令12条)。個別の取引が旅行業務に当たるかは、旅行業法の定義(2条)と所管官庁の資料で確認が必要です。

許可はまだ取っていませんが、取得する予定です。表記に「取得予定」と書いてよいですか。

古物商のように、営業を始める前に許可が要る事業では、許可を受ける前に取引を受け付けること自体が問題になります(古物営業法3条、31条1号)。取扱いがまだ始まっていないなら、欄を置かずに、許可を受けてから番号を載せます。取扱いが始まっているなら、「取得予定」という書き方では解決しません。

仲介サイトで「当社は取引の当事者ではありません」と書けば、運営者としての責任や連絡先は書かなくてよいですか。

当事者かどうかは、記載ではなく、取引の実態(誰が契約の相手方になるか、どのような関与をしているか)で決まります。報酬を得て旅行者のために契約を媒介する行為は、旅行業法上の旅行業の定義に含まれます(2条1項3号)。非当事者の記載を置く場合も、運営者の役割と連絡窓口、販売者の情報の場所は書いておきます。取引DPF法3条は、運営者に連絡手段の確保などの措置を努力義務として定めています。

出店者の事業者情報を運営者が集めることは、法律上の義務ですか。

取引DPF法3条1項3号は、出店者の所在に関する情報など、販売業者等の特定に資する情報の提供を必要に応じて求めることを、運営者の努力義務として定めています。開示請求の仕組み(同法5条)では、運営者は、請求が要件に該当し不正の目的によるものでないと考えるとき、請求に係る出店者と連絡できない場合を除き、開示するかどうかについて出店者の意見を聴かなければなりません(同条3項)。対象になる運営者かどうかは、同法2条の定義で確認が必要です。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、サービスの仕組みや申込みから提供までの流れによって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 特定商取引法ガイド(消費者庁)

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